真実


僕の住む町は,線路を挟んで鈴木氏率いるイトーヨーカドーと岡田氏率いるイオンががっぷりよつに対峙する.
イオン参入でダイエーが,まぁ,もともと傾いていたものの,夢破れて山河有り,今や跡地は閑散となっている.
そしてウォルマート参加の西友が地の利で細々とやっている.
イオンのお陰で,これらのスーパーマーケットは割と価格競争を余儀なくされ,営業時間も目をむくほど延びた.
イオンは24時間.西友イトーヨーカドーは23時までの営業になり,僕のような超時間労働者でもスーパーで買い物ができるようになった.
しかし,家と事務所の間に立地してないので,事務所から向かうと,家を通りこしてそこまで行かなければならないのが悩ましい.
11時を越えれば,一番遠いイオンまで足を運ばなければならないのも鬱だ.

というわけで,パイナップルジュースを確保の旅は続いている.
最寄りの西友で念願のパイナップルジュースを目にし,少し安堵.
しかし,サンキスト(森永)の500mlパックは105円だったのに,スーパーで売られるものは1リットル270円と,30%も割高になってしまったのがショック.
瓶詰めのジュースはもっと高かったりして,おいしいんだけど,高い.
とりあえず,毎週2本ぐらい買うのが習慣となる.


で,ついでにいろいろ売ってるものを見たりするわけだけど,夏のフルーツだからなのか,パイナップルの飲料品というのが割と多い.
-196℃の缶酎ハイにもパイナップルがある.
今でもこよなく愛するリプトンのフルーツティーのラインナップにもパイナップル&マンゴーというのがでていたり.
パイナップルの絵柄のあるもの片っ端から見てみたが,先日よりの疑問であった「パインアップル」という記述は頑なにそう記述してある.
-196℃の缶酎ハイは表に「パイナップル」とコピーがあるにもかかわらず,原材料名は「パインアップル」だ.
これには,もはや見えざるなにかに脅されているとしか思えない.
この「何故」に答える答えを考え続けたある日.

僕よりもはるかにインテリジェンスの高い妹君にその旨と問う.
pineappleだからpine-appleで「パインアップル」か.
でもそれだと,松・リンゴとなるのでは.
英語読みを考えるとパイナップルだし.
グーグル先生を見ても20倍の検索結果だし.

そして,妹君が手に取ったのは,我が家にある「4訂 食品成分表」(現在は5訂が最新).そこに驚くべき記述がある.
「パインアップル」.
パイナップルは存在しない.
食品の原材料を表示する法律によって,これらの食品は頑なに「パインアップル」と書き続けたのだ.
こんな消費者に阿呆と罵られても.
そして,この「4訂 食品成分表」の出版は1990年だ.20世紀だし,昭和っぽいし,16年前だ.
今まさに「パインアップル」の記述のものであふれているということはいまだに「パインアップル」のままだということだ.
しかし,ヤフーの辞書で「パインアップル」と引いてもなにもでない.「『パイナップル』だよ.」と教えてくれる.

ここに「王様の耳はロバの耳」といえない人類の悲哀が見える.
阿呆と知りつつ,それに従う人がいて,それは15年以上改まらない.
もう21世紀なのに.


かつて,「王様は裸じゃないか」と怒鳴りちらしていた人がいたけど,
なかなかドブネズミのように美しくなれないね.


つづく.


p.s. なお,「五訂 日本食品成分表」(2001年発行版)を参照したら,やはり「パインアップル」.備考欄に「別名:パイナップル」となっていた.逆ではないかと.